2016 年 23 巻 2 号 p. 212-215
尺骨近位部の粉砕を伴う成人Monteggia骨折の2例を経験したので報告する.2症例ともに交通事故による高エネルギー外傷で,それぞれGastilo I型,IIIA型の開放骨折であり,受傷当日に創外固定を行い,2週後に内固定を行った.最終経過観察時,日本整形外科学会―日本肘関節学会肘機能スコア(JOA-JES score)は各々81,90点であった.われわれは本骨折の治療のコンセプトは尺骨長を保ち関節の安定性を獲得することと腕尺関節面の再建による肘関節機能の回復と考えている.そのため,尺骨鉤状突起と橈骨頭に着目し,まず尺骨鉤状突起骨片と骨幹部骨片の一体化を図る.これにより尺骨長を保ち,橈骨頭が整復される.一方で腕尺関節面は粉砕し正確な整復は望めないため関節面の曲率を合わせることに留意し,橈骨頭・尺骨鉤状突起を整復した後,上腕骨滑車の関節面に合わせて肘頭骨片を滑らせ骨片が接触した時点でプレート固定を行う.