2016 年 23 巻 2 号 p. 216-218
肘頭骨折は転位のある場合手術治療が基本となるが,骨粗鬆症を合併する高齢者では,固定材料による合併症を生じやすい.これを回避するために,われわれはsoft wireによる8字締結法で治療を行ったので,治療成績を報告する.症例は,3例で平均年齢74歳(70~78歳),全例女性であった.術後肘頭骨片の転位はなく骨癒合は得られた.最終診察時,平均可動域は屈曲135度,伸展-12度で日常生活への支障はみられなかった.1例に鋼線締結部による皮膚刺激症状を認めたが,抜釘は行っていない.TBWやプレート固定と比較すると,力学的には固定力不足が懸念されるが,軟部組織障害は起こりにくく,適応を限れば有効な方法であると考えた.