2016 年 23 巻 2 号 p. 263-266
上腕骨遠位端骨折の3例に対し人工肘関節全置換術(total elbow arthroplasty, 以下TEA)を施行し良好な短期治療成績を得た.
症例1:81歳女性.右上腕骨顆部骨折後,他院での観血的整復固定術後の肘拘縮と外傷性肘関節症に対し,受傷9年後にTEAを施行し,TEA後18か月で肘関節可動域は30~120度と改善した.症例2:60歳女性.関節リウマチを合併し,左肘関節内骨折後,他院での外固定後の偽関節に対し,受傷2か月後にTEAを施行した.術後10か月で肘関節可動域は30~110度である.症例3:80歳女性.左上腕骨顆部骨折陳旧例に対して2度の観血的整復固定術を施行したが,骨癒合が得られず偽関節となった.受傷18か月後にTEAを施行し,TEA後5か月で肘関節可動域は45~125度である.
上腕骨遠位端骨折の難治例に対して,TEAは治療の選択肢となり得ると考える.