日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅵ.鏡視下手術
高度拘縮肘に対する鏡視下授動術の治療成績
轉法輪 光富永 明子大浦 圭一郎島田 幸造
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 23 巻 2 号 p. 282-285

詳細
抄録

 高度拘縮肘に対する鏡視下授動術の治療成績を検討した.対象は高度拘縮肘(屈伸可動域60度以下)の患者,11例,11肘で,男性5例,女性6例,手術時の平均年齢は49.6歳であった.原因疾患は外傷後拘縮2例,変形性関節症4例,関節リウマチ5例であった.手術では関節鏡視下に関節包の切離や癒着の解離,骨棘切除,橈骨頭部分切除を行った.また尺骨神経や内側側副靱帯後斜線維の処置が必要な場合には小切開を加えた.可動域は,術前の屈曲89度,伸展-53度が,術後平均1年6か月の最終診察時には屈曲110度,伸展-30度と改善していた.1例では手術の1年5か月後に2回目の鏡視下授動術を行い,別の1例では術後に骨棘形成が再燃,術後1年に観血的授動術を行った.神経,血管損傷の合併症は認めなかった.鏡視下授動術は高度拘縮肘に対しても良好な結果を得ることができたが,手術に際しては手技の習熟や合併症の回避が重要である.

著者関連情報
© 2016 日本肘関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top