Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
骨粗鬆症性椎体骨折に対するBalloon Kyphoplastyと保存治療の医療費の比較:介護費とインフォーマルケア費の検討
高橋 真治寺井 秀富星野 雅俊中村 博亮
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2022 年 13 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

はじめに:骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)は高齢者の多くが罹患する骨折であり介護費用に与える影響が懸念される.一方でBalloon kyphoplasty(BKP)はOVFに対して広く行われている治療の一つである.本研究目的は過去の報告をもとに介護費用及び介護者の生産性損失を含めた保存治療およびBKPの費用を推計することである.

対象と方法:OVF後のADL分布は,新規にOVFを発症した受傷後2ヶ月以内の65歳以上の者を対象としてBKPあるいは保存治療を実施した6ヶ月間の多施設前向き研究のデータを使用した.介護費用の推計やインフォーマルケア費用の推計について,主に厚生労働省が公表しているデータを基に推計した.

結果:介護費用は,治療実施6ヶ月後時点のADL分布と要介護度と日常生活自立度の分布を基に算出した.治療実施6ヶ月後時点の要介護度別の1人あたり介護費は,BKP群39,497円/月,保存療法群58,298円/月,差分18,801円/月であった.インフォーマルケア費用の比較として,治療実施6ヶ月後時点の要介護度別の1人あたりインフォーマルケア費用は,BKP群で35,722円/月,保存療法群で44,102円/月,差分は8,380円/月であった.

結語:BKPによるADLの改善が,介護費用および介護者の生産性損失を削減する可能性がある.

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© 2022 Journal of Spine Research編集委員会
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