日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅶ.神経
変形性肘関節症に起因する肘部管症候群に対する肘部管ならびに尺骨神経溝形成術の治療成績
神山 翔田中 利和小川 健落合 直之
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 23 巻 2 号 p. 300-303

詳細
抄録

 変形性肘関節症を背景とした肘部管症候群に対する,肘部管ならびに尺骨神経溝形成術の成績を報告する.2009年6月から2015年3月に当院で本法を行った17例を対象とした.年齢は平均63.3歳,経過観察期間は平均17か月であった.調査項目は,罹病期間,赤堀の病期分類,術前・術後しびれ,感覚,筋力,握力,可動域,DASHスコア,赤堀予後評価基準,合併症とした.罹病期間は平均16か月であった.赤堀の病期分類は,Ⅰ期2例,Ⅱ期2例,Ⅲ期5例,Ⅳ期8例であった.しびれ,感覚は全例で改善し,筋力は有意に改善した.握力も改善傾向を示した.可動域は屈曲が有意に改善した.DASHスコアも有意に改善し,赤堀の予後評価は優6例,良5例,可6例であった.1例に上腕骨内側上顆骨折を合併した.本術式は尺骨神経を本来あるべき位置に納め,可動域も改善する.重症例は改善度が低かった.長期経過を明らかにする必要がある.

著者関連情報
© 2016 日本肘関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top