2016 年 23 巻 2 号 p. 379-381
成長期に発症する上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)に対する手術適応は,臨床症状および画像所見より判断するが,手術時期は学年や大会スケジュールといった要因に左右されることが少なくない.中学野球部引退後に,モザイクプラスティーを行った症例の術後成績を検討したので報告する.対象は,保存療法を行い野球を継続するも引退後に手術を行う必要があった7例である.術後の投球動作の開始は平均4.4か月で,全力での投球復帰は平均7.3か月であった.日本整形外科学会‐日本肘関節学会 肘機能スコアは術前52点が術後90点に有意に改善していた.中学3年生の8月より高校進学の4月までの期間は8か月であるが,今回の検討では平均7か月で全力投球に復帰できていた.手術適応となる進行期のOCDに対して,引退間近であれば保存療法を行い症状が軽快すれば野球に復帰させ,中学野球部引退後にモザイクプラスティーを計画することは有効であると考えられた.