2016 年 23 巻 2 号 p. 409-413
2013年7月以降,野球選手に生じた肘頭疲労骨折に対し,体外衝撃波療法(以下,ESWT)を13例(平均年齢15.6歳,ESWT後平均経過観察期間9か月)に施行したので,その治療成績を報告する.ESWTは原則5000発とし,CTや超音波,圧痛部位や再現痛を参考に疼痛の耐えうる最大エネルギーで無麻酔下に照射した.平均照射エネルギーは,約0.07mJ/mm2であった.全例が照射後平均10.2週で競技復帰し,特にシーズン中に照射した8例は平均6.4週で競技復帰となった.復帰3か月後以降に3例で疼痛の再燃を認め,再照射を行った.骨癒合が確認できたのは5例(39%)のみであったが,うち4例は陳旧例であった.本研究では,ESWTに伴う骨新生効果は明らかではなかったが,除痛作用により理学療法単独の治療よりも復帰が早かった.ESWTは低侵襲であり,現時点ではシーズン中の早期復帰を希望する症例に対し特に有用である.