2016 年 23 巻 2 号 p. 405-408
超音波を用いた野球肘検診や予防指導の介入が野球肘の発生を明確に減らしたという報告はみられない.今回同一自治体で4年連続行なった検診結果から事業の効果を検討した.2011年度から14年度に実施した富山県黒部市内小中学生全野球選手の野球肘検診で2年連続受検した選手のうち,「内外側とも所見なし」から「1年後内側もしくは外側小頭部に所見が出現した」のは11年から12年33.9%,12年から13年22.3%,13年から14年26.4%,「内側のみ所見あり」から「1年後外側小頭部に所見出現」は5.9%,6.9%,3.1%.外側小頭部に所見なく1年後に同部所見が発生した選手は5.3%,3.1%,2.5%であった.所見の新規発生率が年々減少したことは野球肘検診時に行なった予防指導介入に効果があった可能性を示唆する.しかし有意差はなく母集団も少ないことから引き続き検討を要する.