2016 年 23 巻 2 号 p. 418-420
症例:91歳,男性.右肘頭骨折を受傷し,4日目に近医で骨接合術を施行した.術後2週で創感染を生じたが前医を拒否し術後3週で当科を初診した.
初診時所見および経過:肘頭に感染を伴う開放創があり培養検査を行った.1週後の再診時には創は悪化してMRSAが検出され,単純X線で骨融解像を認めたため,同日手術を行った.内固定抜去後に腐骨を掻把し,死腔にバンコマイシンを含有させたリン酸カルシウム骨ペーストを充填した.術後はバンコマイシンとリファンピシンを約4週間投与した.感染徴候は速やかに軽快して創は治癒し,骨折部も骨破壊や再転位なく癒合した.術後2年で疼痛はなく,肘関節可動域は良好である.
考察:MRSAによる骨髄炎では,病巣掻爬と抗菌剤全身投与のみでは感染をコントロールできないことがある.バンコマイシン含有リン酸カルシウム骨ペーストはMRSA骨髄炎に対する有用な補助療法になり得ると考えられた.