Journal of Traditional Medicines
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Citri Unshiu Pericarpium prolongs mean residence time of guaiacol after oral administration of wood creosote pill to rats
Tatsuya BABATakao NISHINOTadato TANI
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2004 年 21 巻 3 号 p. 137-142

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抄録
4種の生薬 (甘草, 陳皮, 黄柏, 阿仙薬) を含む木クレオソ-ト丸は, 日本において食中毒, 下痢の治療に用いられてきた。 Guaiacol がその止瀉作用を担っていることはすでに明らかにされている。 我々は木クレオソ-ト丸に配合された生薬の薬剤学的役割を明らかにする研究に着手し, すでに陳皮 (CUP2) が guaiacol の丸剤からの平均溶出時間 (MDT) を遅延させることを報告した。
今回, 4 生薬を含む木クレオソ-ト丸 (P4R) と CUP2 を含まない丸剤 (P4R-CUP2) をラットに経口投与し guaiacol の血中動態に及ぼす CUP2 の影響を検討した。 その結果, P4R 投与群の guaiacol の平均滞留時間 (MRT) は P4R-CUP2 に比べて有意に長いことが明らかになった。 両群の血中濃度時間曲線下面積 (AUC0-5h) には有意差が認められなかったので, guaiacol の MRT に対する CUP2 の遅延効果は, 平均溶出時間 (MDT) の遅延によると考えられた。 さらに, ひまし油で誘発した下痢病態においても CUP2 の MRT 遅延効果が認められた。 MRTMDT の遅延は薬物の持続効果の指標となることから, CUP2 は木クレオソ-ト丸の止瀉効果を持続させると考えられる。 このような研究は伝統的な生薬配合剤の配合意義を解明するととも, 新たな配合剤を開発する指針になる
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© 2004 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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