2017 年 24 巻 2 号 p. 1-3
Leitchらは,屈曲伸展両方向で転位の増強する,多方向に不安定性を有する小児上腕骨顆上骨折をModified Gartland IV型として報告した.当科にて手術加療を行った119例の小児上腕骨顆上骨折のうち2例を本骨折と診断した.いずれも9歳の男児で,受傷機転は自転車走行中の転倒と階段よりの転落であった.初診時神経麻痺,血行障害はなかった.受傷当日に腹臥位にて手術を施行した.X線透視側面像で外側より複数のKirschner鋼線を刺入し,対側皮質骨手前で止めた.患肢は動かさずC-armを回転させ,正面像を見ながら内外反を矯正したのち対側皮質骨を貫いた.さらに内側からの鋼線を追加した.骨癒合,可動域に問題はなかったが1例で外反肘変形が残存した.手術法,観血的治療の必要性についてもさらなる検討が必要であると考えられた.