日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
I.小児骨折・先天性疾患
小児上腕骨顆上骨折に合併した神経麻痺の検討
玉置 康之田中 康之
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2017 年 24 巻 2 号 p. 4-7

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抄録

 今回われわれは,小児上腕骨顆上骨折に合併した神経麻痺の臨床像を検討した.対象は,小児上腕骨顆上骨折に神経麻痺を合併した12例である.男性7例,女性5例,年齢は平均7歳(4~11歳),観察期間は平均260日(90~720日)であった.以上に対し,骨折型,麻痺神経,診断時期,治療経過について後ろ向きに検討した.骨折型は,Gartland分類タイプII:1例,タイプIII:11例,麻痺神経は,橈骨神経:7例,正中神経:3例,尺骨神経:2例であった.全例,受傷当日に経皮的交差鋼線固定を行った.神経麻痺診断時期は,来院時:4例,術直後:3例,術後:5例であった.完全麻痺の症例が9例あり,そのうち開放骨折が3例含まれていたがpucker sign,動脈拍動消失はなかった.全例,経過観察を行ったが,最終的には全例完全回復した.完全麻痺でもpucker sign,動脈拍動消失がなければ,自然回復する可能性が高いと考えた.

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© 2017 日本肘関節学会
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