2017 年 24 巻 2 号 p. 101-104
目的:近年,先天性近位橈尺骨癒合症の前腕骨に対する3次元変形解析の結果,回内強直位が強い症例では尺骨の内旋変形が高度であることがあきらかになった.これをうけて当科では2012年より高度回内強直例に対して分離授動術に尺骨回旋矯正骨切り術を併用しており,その術後成績を検討した.
対象と方法:2007~15年に手術した,術前回内強直位が50°以上の14例18肢を対象とした.金谷法に基づく橈骨分離矯正骨切り術を行った群(金谷変法群)は11肢,さらに尺骨回旋矯正骨切りを併用した群(骨切り併用群)は7肢であった.両群間の最終観察時の回内外の可動域を比較した.
結果:術後の平均可動域は,回内が金谷変法群で65°,骨切り併用群で58°と有意差を認めず,回外は金谷変法群で-3.6°,骨切り併用群で27°と有意差を認めた.Total arcは金谷変法群で61°,骨切り併用群で85°と有意差を認めた.
結論:高度回内強直位の本症に分離授動術に尺骨の回旋矯正骨切り術を併用し回外とtotal arcが改善した.