抄録
ワンドのような閉鎖水域は主流との適度な水交換がなければ,水質環境が大きく低下する.本稿は特に溶存酸素(DO)動態に着目する.まず野外の実験ワンドにおける10か月間のDOモニタリングの結果から,隔離状態にくらべて本川と接続している状態の方が昼夜を通してDO値は高く,適切な水環境を維持するためには本川との水交換が効果的であることを確認した.ワンド域へのDO供給は本川だけでなく大気からの再曝気や水性生物や底泥による生産・消費も関係する複雑な現象である.本稿後半ではモデルワンドを用いた水理実験によってワンド内の循環流とDO回復速度を計測した.さらに再曝気と主流からの二重供給によるDO回復時間を定量評価するとともに主流速,開口比率および交換率による予測式を提案した.