2017 年 24 巻 2 号 p. 112-115
上腕骨通顆骨折は比較的骨癒合を得にくいが,近年ではロッキングプレートによる良好な治療成績が報告されてきている.今回in situ bendingが可能な単軸性プレートであるA.L.P.S. Elbow Plating System(以下ALPS)を用いた上腕骨通顆骨折の治療経験について報告する.
対象は上腕骨通顆骨折に対しALPSを用いて治療した9例であった.これらの症例に対し,プレートの設置状況,骨癒合,肘関節可動域,合併症について調査した.
プレートは3例で平行設置,6例で垂直設置されていた.遠位骨片へのスクリューは平行設置で平均4.3本,垂直設置で4.7本挿入されていた.骨癒合は全例で得られ,平均可動域伸展-9.7°,屈曲131.7°であった.皮膚障害は全例で認めなかったが,1例で尺骨神経領域の知覚障害を認めた.
ALPSを用いた上腕骨通顆骨折の治療成績は概ね良好であったが,尺骨神経障害の発生には注意が必要である.