日本肘関節学会雑誌
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Print ISSN : 1349-7324
II.成人骨折・脱臼
ビスフォスフォネート長期服用中に発生した両側尺骨非定型骨折
本田 祐造
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2017 年 24 巻 2 号 p. 169-172

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抄録

 近年,ビスフォスフォネート(以下BP)製剤の長期投与に関連した大腿骨非定型骨折の報告が散見されるが,尺骨に生じる非定型骨折は稀である.今回,短期間に両側尺骨骨幹部に非定型骨折を生じた症例を経験したので報告する.

 症例は73歳女性.約5年間BP製剤を内服している.特に誘引なく左肘痛を自覚していた.尺骨には生理的なbowingが存在し,その頂点で横骨折を認めた.2週後に骨接合術を行ったものの,術後13か月の時点で骨癒合は得られず骨移植を併用した再手術を行った.さらに左術後の6か月で右肘痛が出現した.ほぼ左と同じ部位に横骨折を認めた.受傷6週で骨移植を併用した骨接合術を行い,さらにテリパラチド製剤(以下TP製剤)の投与を開始した.術後3か月で骨癒合が得られた.BP製剤に関連した非定型骨折は尺骨に生じることがあることを留意すべきであり,特に尺骨のbowingがあり,恒常的な尺骨へのストレスが存在する場合には注意が必要である.治療は積極的に骨移植を併用し,TP製剤を追加すべきと考えられた.

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© 2017 日本肘関節学会
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