2017 年 24 巻 2 号 p. 231-234
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下OCD)の治療方針決定に有用な単純X線での岩瀬分類(以下岩瀬分類)の検者間信頼性ついて検討した.
当院でOCDと診断した117名117肘の初診時単純X線両肘3R(正面,側面,屈曲位45度正面撮影)のみを,整形外科専門医3名が読影した.診断基準に岩瀬分類(透亮期外側型,同中央型,分離期前期,同後期,遊離期巣内型,同巣外型)を用いた.得られたデータから検者間一致率とFleiss' kappa係数を計算し検者間信頼性を評価した.
3検者間完全一致率は14.5%(17/117),κ係数は0.187(slight agreement)であった.分離前後期,遊離期巣内型の3分類内に3検者の判定がまとまった44症例では,完全一致率は22.7%(10/44),κ係数は0.160(slight agreement)であった.
本研究の結果から,検者間の信頼性が低いことが分かった.分離前・後期,遊離期巣内型の診断には検者間に著明に差が認められた.病期の正確な診断には,超音波,CT,MRI,術中所見も合わせた総合評価が必要である.