2017 年 24 巻 2 号 p. 296-301
上腕骨外側上顆炎9名10肘の手術時に採取したECRB付着部の一塊標本を分析することで本疾患の病態・治療法について検討した.術中,変性部分を外側上顆付着部から輪状靱帯中枢2分の1にかけて一塊として紡錐形に切除しこれを病理検査にて評価した.全例においてenthesisにおける膠原線維の亀裂や縦断裂ならびに小血管とそれを取り巻く線維芽細胞の小葉状の増生(angiofibroblastic hyperplasia:AFBH)を認めた.3例においてAFBHはenthesisを含む中枢側と関節面に沿って特に密に存在していた.以上より本疾患の病態はECRBのenthesopathyとenthesis organに存在するwrap around構造に沿った変性の波及ではないかと推察した.