2017 年 24 巻 2 号 p. 331-333
肘部管症候群に対する尺骨神経皮下前方移動術の1つであるEaton法は,術後の神経の後方移動を防止するためにfasciodermal slingを作成する方法である.今回その治療成績を調査し,合併症や予後予測因子などについて検討した.34人36肘を対象とし,治療成績をMessinaの基準を用いて評価した.術前重症度(McGowan分類),MCV,性別,糖尿病,罹病期間,年齢,BMIを予後予測因子として抽出し,術後成績との関係を検討した.Messinaの評価基準は優13肘,良17肘,可6肘,不可0肘であった.単変量解析の結果,術前重症度,MCV,罹病期間において術後成績と関連が示唆された.多変量解析の結果,術前重症度が術後成績と有意な相関を認めた(P=0.004).合併症として,尺骨神経の後方への脱転を1肘に認めた.肘部管症候群に対するEaton法による尺骨神経皮下前方移動術は概ね良好な成績が得られたが,術前重症度が術後成績に影響することが示された.