2017 年 24 巻 2 号 p. 341-343
人工肘関節全置換術(TEA)術後に尺骨神経障害をきたし再手術を行ったところ,尺骨神経が人工関節に挟まれて部分断裂していた症例を経験した.症例は61歳,女性.13年前に関節リウマチを発症し,2年前に左TEAおよび左尺骨神経皮下前方移所が行われた.TEA術後1年6か月で左尺骨神経障害が出現し,症状の増悪と筋萎縮の進行のため,TEA術後2年7か月で再手術を行った.尺骨神経は,露出した人工肘関節上腕骨コンポーネントの直上に位置し,人工関節に挟まれて部分断裂を生じていた.尺骨神経の神経縫合と皮下前方移所を行い,人工関節は脂肪弁で被覆した.術後1年1か月で,左肘関節痛は消失したが,麻痺の改善は得られていない.TEAにおける後方アプローチでの尺骨神経皮下前方移所は神経の移動が不十分となることがあり,術後に尺骨神経障害が増悪する場合には,早期に尺骨神経の確認を行う必要がある.