日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
I.小児骨折・先天性疾患
小児上腕骨外側顆骨折後変形治癒に対して関節内矯正骨切り術を施行した1例
村上 賢也佐藤 光太朗古町 克郎
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2017 年 24 巻 2 号 p. 47-50

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抄録

 小児上腕骨外側顆骨折後変形治癒に対し関節内矯正骨切り術を施行した1例を経験したので報告する.症例は8歳男児.自転車で転倒し右上腕骨外側顆骨折を受傷.近医で保存加療が行われたが変形治癒となり当科を紹介受診した.当科初診時,高度の肘関節可動域制限と15度の内反変形を認めた.受傷8か月後に関節内矯正骨切り術を施行.手術は吉津法に準じて行い,術前には3D骨モデルを作製し骨切り位置や矯正方向の検討をした.術後滑車外側部の骨壊死が懸念されたが徐々に骨癒合は得られ,関節可動域と内反変形の改善も得られている.小児肘関節周囲骨折後の変形治癒は保存加療や関節外骨切りが治療として選択される場合が多いが,本症例では関節内の転位残存が可動域制限の原因と考え,関節内骨切りを選択した.関節内骨切りは関節可動域制限と内反変形を伴った本骨折変形治癒例に有用である.

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© 2017 日本肘関節学会
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