2018 年 25 巻 2 号 p. 197-201
神経原性腫瘍の代表である神経鞘腫では,占拠性病変とならなければ筋力低下など麻痺症状を伴わないことが多い.肘周辺で尺骨神経と橈骨神経に生じた腫瘍性病変に伴う末梢神経麻痺の2例を報告する.前者は,64歳男性の右肘部尺骨神経に生じた腫瘍性病変であり,神経伝導検査では遠位軸索変性を伴う肘部管症候群(伝導遅延)として矛盾しない結果であったが,臨床症状がやや異なり,切開生検後総合的に神経周膜腫が疑われた.後者は,53歳男性の左橈骨神経の肘上部に生じた神経線維腫で,伝導障害を伴わない高度軸索障害を示し,下垂手を呈していた.いずれも,緩徐進行性の無痛性でしびれ感を伴わない運動神経優位の麻痺であり,他の末梢神経障害との鑑別が必要であった.神経伝導検査所見が,運動麻痺を伴う神経原性腫瘍の術前鑑別に役立つと考えられた.