日本肘関節学会雑誌
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IV.スポーツ障害
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の単純X線分類(岩瀬分類)における検者内信頼性の検討
大澤 一誉鈴木 昌西中 直也
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2018 年 25 巻 2 号 p. 210-212

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抄録

 岩瀬分類の検者内信頼性について検討したので報告する.当院でOCDと診断した118名118肘の初診時単純X線両肘3方向画像(正面,側面,屈曲位45度正面撮影)を,同一検者(整形外科経験年数11年)が3回読影した.診断基準に岩瀬分類を用いた.得られたデータから検者内の完全一致率を計算し,信頼性をFleissのkappa係数により評価した.検者内完全一致率は43.2%,κ係数は0.431(moderate agreement)であった.分離前後期,遊離期巣内型の3病期いずれかに3回の判定全てがおさまった58例では,完全一致率は46.6%(27/58),κ係数は0.157(slight agreement)であった.本研究の結果から単純X線での岩瀬分類の検者内信頼性は十分ではないことが分かった.岩瀬分類の正確な判断には,超音波,CT,MRI,術中肉眼所見を合わせた総合評価が必要である.

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© 2018 日本肘関節学会
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