抄録
14歳男性.2m程の高さから落下し受傷した.単純レントゲン像で明らかな骨折は認めずMRIにて左上腕骨小頭骨挫傷,内側側副靭帯損傷と診断され保存治療を施行されたが,受傷後16週で伸展制限と左手指のしびれを認めたため当科紹介となった.当科初診時,左肘関節に30度の伸展制限と小指球筋の萎縮および小指・環指尺側のしびれを認めた.単純レントゲンおよびCTにて内側側副靱帯に沿った骨化を認めた.外傷後の異所性骨化による可動域制限と肘部管症候群と診断し骨化巣成熟を待機し,受傷後1年3ヵ月で観血的関節授動術と尺骨神経皮下前方移所術を行った.内側アプローチにて内側側副靱帯を展開しAOLに限局した骨化巣を認め,関節授動にはAOLを含めた切除を要した.術中の透視で明らかな外反不安定性はなかった.術後,可動域と尺骨神経領域のしびれ,筋力低下は改善し明らかな不安定性は認めていない.