抄録
不安定性を有する上腕骨遠位端骨折に対し近年double plate固定による強固な内固定が推奨されているが過度の内固定は軟部組織への侵襲及び医療経済の観点から疑問である.一方single plate固定と1本のスクリュー固定では骨粗鬆症例では癒合不全も散見される.著者らは粉砕の軽度な本骨折に対し外側柱はanatomical locking plate固定,内側柱は2本のcannulated screw固定というハイブリッド固定法を行っており本法の治療成績について検討した.本法を施行した8例8肘全例で骨癒合が得られ,平均関節可動域は伸展-9度,屈曲126度であり術後尺骨神経障害残存などの合併症は認められなかった.本法は2本のスクリュー固定により内側柱の回旋トルクに対する固定性を高めることにより骨癒合を獲得しdouble plate固定に比べより低侵襲で慎重な症例選択を行えば有用な方法である.