抄録
上腕骨遠位骨幹端外側骨片の転位方向を評価することで,簡易に鑑別が可能か後ろ向きに検討した.小児上腕骨外側顆骨折(以下 LCF ),Salter-Harris II 型の上腕骨遠位骨端離開(以下 ES ),ならびに LCF を伴う脱臼骨折(以下 FD )を対象とした.症例は 54 例(男児44 例、女児 10 例)で,年齢は 1-10 歳(平均 5.8 歳)であった.内訳は LCF:38 例,ES:9 例,FD:7 例であった.骨片の転位方向は,LCFでは全例外方-内反転位,ES では全例内方-内反転位,FDでは外方-内反転位が 2 例,内方-内反転位が5例であった.FD を慎重に鑑別した後,骨片が外方-内反転位している場合は LCF の可能性を一番に考え,内方-内反転位している場合は ES の可能性を一番に鑑別に挙げることが,正確な診断に至る一助になると考える.