日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
橈骨神経麻痺をきたした小児上腕骨遠位骨幹・骨幹端 (metaphyseal-diaphyseal junction)骨折の1例
松浦 充洋吉田 史郎上野 智規坂井 健介秋吉 寿
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2020 年 27 巻 2 号 p. 15-17

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抄録
 症例は11歳,男児.バスケットボールの試合中に相手と衝突,転倒受傷し救急搬送となった.来院時には橈骨神経領域の感覚の脱失,下垂手を認め,単純X線写真では上腕骨遠位骨幹・骨幹端metaphyseal-diaphyseal junction(以下MDJ)骨折であった.受傷4時間後に後方アプローチで展開し骨折部を確認したが,神経の挟み込みは認めず,外側筋間中隔で絞扼されていたため剥離し,観血的骨接合術を行った.受傷4か月のX線写真で骨癒合を認め,最終機能評価としてJOA-JESスコアは97点,PREE-Jは1,握力は健側比97%と改善を認め,バスケットボール競技に復帰している.上腕骨遠位端MDJ骨折は不安定性と外側筋間中隔によって麻痺を引き起こす可能性が示唆され,治療法としては上腕骨顆上骨折と区別して検討することが重要で,観血的整復固定術が必要と考える.
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© 2020 日本肘関節学会
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