抄録
【現病歴】65歳男性,ベルトコンベアに巻き込まれ受傷.前医搬送,右尺骨開放骨折,肘関節開放脱臼,橈骨神経断裂の診断で緊急手術施行.1週後尺骨プレート固定, 肘関節ヒンジ付き創外固定,橈骨神経は人工神経移植を行った.経過で巨大な異所性 骨化を生じ受傷後5か月当科紹介初診.経過観察も,可動域制限残存したため, 受傷後10か月で異所性骨化切除,関節授動術を行った.【手術】駆血を用いず,超音波凝固切開装置を使用し手術を行った.当初出血微量であったか,超音波凝固切開装置動作不良となり以後電気メスを使用した.出血量500mlでほとんど電気メス使用時のものであった.術後3か月で伸展 -30° ,屈曲120° の可動域を再獲得した.橈骨神経麻痺は回復不十分で,Riordan変法追加し ADL障害は残っていない.【結語】超音波凝固切開装置は,凝固止血に有効と考えられる.