抄録
肘関節は外傷後及び術後に関節拘縮を生じやすいが,近年は愛護的なリハビリテーションの認識も高まり,術後に異所性骨化に伴う強直は稀である.今回尺骨近位端開放性骨折・橈骨頚部骨折術後に生じた肘関節骨性強直に対し骨性要素を除去した関節授動術を施行し改善が得られた1例を文献的考察をふまえて報告する.
【症例】61歳男性.墜落外傷にて多発外傷を伴う両肘頭開放骨折Gustilo2を受傷し,前医にて受傷当日洗浄・デブリードマンを施行され,受傷後4日にORIFを施行され,術後3週より可動域訓練が開始されていた.全身状態の改善に伴い当院救急科に転院となり,右肘関節可動域制限を主訴にORIF後7か月で当科初診となった.右肘関節は屈曲30度での強直を認め,画像所見にて肘関節周囲に骨化を認めたため,初診2週後に強直解除術を施行した.過剰にできた骨成分を切除することで良好な可動域を得た.術後1年で再発を認めていない.