2020 年 27 巻 2 号 p. 271-274
小児橈骨頚部骨折の発生率は小児肘関節周囲骨折の 4.5-14 %と言われており決してまれな外傷ではない.小児橈骨頚部骨折は転位が大きければ観血的整復が必要であるが,橈骨頭を回り込むように後骨間神経 が走行しているため術中操作で損傷の危険性がある.今回われわれは小児橈骨頚部骨折術中操作により PIN 麻痺を生じた 1 例を経験したため,今後の再発予防の教訓として報告した.
橈骨頚部骨折に対し,Intrafocal pinning で整復を行う際にはリスター結節を 12 時として 4-8 時方向に転位している症例では整復操作の際に PIN 損傷を合併する危険性が高いため,より注意が必要である.
輪状靱帯よりやや近位外側からの刺入により,橈骨頚部骨折術中操作による PIN 麻痺の合併リスクを低下させることが可能である.