日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅳ. スポーツ障害
肘関節外反不安定性評価としての超音波検査による ring-down artifactの有用性 -高校野球選手における前向き調査-
宇良田 大悟古島 弘三貝沼 雄太安田 武蔵川鍋 慧人西 亮介船越 忠直草野 寛高橋 啓堀内 行雄伊藤 惠康
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2020 年 27 巻 2 号 p. 288-292

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抄録

【はじめに】近年,内側型野球肘の外反不安定性評価としてring-down artifact(RDA)が報告されている.RDAは関節内の線状高エコー像と定義され,関節弛緩性を示す.本研究の目的は,健常高校野球選手におけるRDA陽性率と,その後の肘内側痛の発症に関して前向きに調査することである.
【方法】対象は,高校硬式野球部新入部員32名とした.超音波診断装置を用い,自重外反時,自重外反+尺側手根屈筋(FCU)・浅指屈筋(FDS)収縮時のRDAの有無を評価した.検診後6か月間,肘内側痛の有無を聴取し,有痛日数を調査した.
【結果】RDA陽性率は18名(56.3%),FCU・FDS収縮時のRDA陽性率は7名(21.9%)であった.RDA有群は有意に肘内側痛を発症しやすかった(Risk Ratio: 7.0).有痛日数は,RDA有群で有意に長期化していた.また,FCU・FDSの収縮によってRDAが残存する場合,有痛日数が有意に長期化していた.
【考察】RDA有無の評価は,将来的な肘内側痛の予測因子として有用であると考えられた.

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© 2020 日本肘関節学会
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