抄録
【症例】 58 歳女性.左尺骨神経領域のしびれ,疼痛があり肘部管症候群疑いで当院紹介となった.左前腕尺側に 1.5cm 大の有痛性,拍動性の腫瘤を触れ同部位に強いTinel like sign を認めた.MRI ,超音波検査より尺骨動脈瘤による尺骨神経障害が疑われ,動脈瘤摘出術を施行した.自覚症状は術直後に著明に改善し,良好な成績が得られた.【考察】非外傷性尺骨動脈瘤の原因として Angiolymphoid hyperplasia with Eosinophillia(ALHE),血管疾患,感染等が報告されているが本症例ではそのような血管脆弱性をきたす疾患は画像,病理所見から否定され,まれな特発性と考えられた.