抄録
目的:肩肘関節モーメントの増大が投球障害の一因となるが,ゼロポジション近似肢位での等尺性肘伸展筋力(Zero 伸展筋力)との関係は不明である.本研究の目的は,Zero伸展筋力と最大肩内旋モーメント(MIRM)と最大肘内反モーメント(MVM)との関係を検討することである.
材料および方法:健常成人男性17名を対象とした.投球動作を3次元動作解析装置VICON を用いて測定し,MIRMとMVMを算出した.Zero伸展筋力は酒井医療社製モービィを用い計測した.Zero伸展筋力とMIRMおよびMVMとの関係をSpearmanの順位相関係数を用いて検定し,有意水準は5%未満とした.
結果:Zero伸展筋力とMIRMとMVMとの間にはそれぞれ負の相関関係を認めた.
考察:Zero伸展筋力を発揮できると,加速期では肘伸展が主動作になりやすい.その結果,肩肘関節への負荷を軽減できると考察する.