日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅹ. 治療法
上腕骨遠位部骨折術後の経時的可動域変化と成績不良因子の検討
草島 未悠頭川 峰志長田 龍介
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2020 年 27 巻 2 号 p. 386-388

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抄録
 上腕骨遠位部骨折の術後可動域の回復過程の特徴を調べた.対象は本骨折に対して骨接合,OTを行った21例.術後の経時的可動域と合併症を調査し,70歳未満の青壮年群11肘と70歳以上の高齢者群10肘の2群間で比較した.青壮年群における術後1,2,4,6ケ月,最終の全可動域は,75° ,92° ,105° ,107° ,116° であった.高齢者群では,81° ,87° ,96° ,96° ,102° であり,合併症は尺骨神経障害が青壮年群1肘,高齢者群5肘であった.これらの6例の最終全可動域は95° であり,神経障害がなかった115° と比較し有意に不良であった.本結果から,術後4ケ月までの可動域改善が機能予後に重要であると考えた.最終可動域は,青壮年群よりも高齢者群のほうが悪かった.また,尺骨神経障害の合併は高齢者に多く,術後可動域制限との関与が示唆された.高齢者の術後OTは早期より積極的な介入が必要である.
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© 2020 日本肘関節学会
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