日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
成人経肘頭脱臼骨折の治療経験
清田 康弘中山 政憲堀内 孝一鎌田 雄策有野 浩司石井 賢
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2021 年 28 巻 2 号 p. 36-38

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抄録

 経肘頭脱臼骨折は定義や分類が様々あり,標準的治療は未だ確立されていない.われわれは経肘頭脱臼骨折の治療経験について検討した.対象は3例(男性2例,女性1例 ),平均年齢は65 (57~74)歳,Mayo分類骨折型は2例がIIIA,1例がIIIBであった.脱臼方向は前方が2例,後方が1例であり,1例は橈骨頭骨折,尺骨鉤状突起骨折,外側側副靭帯損傷を合併していた.内固定法は2例がtension band wiring(TBW),1例がプレート固定で,TBWを施行した2例のうち1例は遷延癒合,1例は偽関節を生じた.最終経過観察時の肘関節平均可動域は,屈曲130(120~140)° ,伸展-15(-20~-10)° であ った.骨癒合不良の2例は,内固定力不足が原因であると考えられた.経肘頭脱臼骨折の治療では,軟部組織損傷が高度であることを念頭において,強固な骨性支持が得られる内固定を行うことが必要である.

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© 2021 日本肘関節学会
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