日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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KNOX遺伝子を葉で異所的に発現するイネ突然変異体の解析(2)
*伊藤 幸博津田 勝利倉田 のり
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p. 0393

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抄録
KNOX遺伝子は茎頂分裂組織(SAM)の形成・維持に重要な役割を果たしている。KNOX遺伝子はSAM特異的に発現しており、本来発現していない葉で発現すると形態異常を引き起こす。従って、植物の正常な発生にはKNOX遺伝子のSAM特異的発現が必須である。我々はその発現制御機構を明らかにするため、KNOX遺伝子を葉で発現しその過剰発現体と似た形態のシュートを形成するイネの突然変異体onionの解析を行った。
ONION遺伝子はfatty acid elongaseをコードし、SAMと若い葉のL1層の細胞で特異的に発現していた。onion変異体では、L1のマーカー遺伝子の発現の低下、葉の表面のワックスの異常、極長鎖脂肪酸含量の低下が観察された。また、マイクロアレイの結果、オーキシン、SAM、ヒストンに関連する遺伝子の発現が変化していた。
以上のことから、ONION遺伝子はKNOX遺伝子の発現制御を含む正常なシュート形成に必要な遺伝子と考えられた。さらに、正常なイネの発生にはL1層の脂肪酸組成が重要で、L1層の細胞から内部の細胞に何らかのシグナルが伝達されることが必要であると推察された。
また、脂肪酸伸長反応のONION遺伝子の次のステップで働くと考えられる遺伝子を探索した結果、ONION遺伝子同様、茎頂特異的に発現する遺伝子を見いだした。現在この遺伝子の解析も進めている。
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© 2008 日本植物生理学会
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