抄録
尺骨鉤状突起骨折の分類に前外側部骨折の記載はない.成人内反肘に脱臼を伴わずに生じた尺骨鉤状突起前外側部骨折の症例を報告する.症例は79歳女性.主訴は左肘痛.屋外で転倒受傷した.内反肘と鉤状突起前外側部骨折を認めたが明らかな脱臼はなかった.骨折は橈骨切痕の大部分を含む前後方向に長い骨折線であった.外反ストレスで鉤状突起前外側部が上腕骨と衝突して骨折部は不安定であったが骨折部を内固定すると肘関節は安定した.内反肘の合併症として後外側回旋不安定性が知られており本例もその存在下にTerrible triad injuryと同様な外反後外側回旋力がはたらき骨折を生じたと推察された.内反肘で上腕骨遠位関節面は内側に傾斜しており鉤状突起前外側部は傾斜した上腕骨と衝突して脱臼を生じず前後方向に骨折したと考えられた.