抄録
上腕骨遠位端骨折に対して最小侵襲尺骨神経移動法(以下MIUT法)を併用してダブルプレート固定術を行った症例のプレート抜釘時に,尺骨神経の術中所見を評価した.対象は2014年4月から2020年6月までに手術を行った19例(男性4例,女性15例,平均73歳)で,術後経過観察期間は平均12.8か月(6~24か月)であった.19例中1例(5.3%)に術後尺骨神経障害を認めたが,経過観察のみで軽快した.抜釘を行った4例(全例術後尺骨神経障害なし)の術中所見では,全例,初回内固定時に展開したどの領域においても周囲組織やプレートとの明らかな癒着・係留はなかった.また伴走血管も温存され,走行床上で良好な可動性と伸長性を認めた.MIUT法は術後尺骨神経障害の発症率を低下させるとともに,プレート抜釘時の尺骨神経損傷のリスクを軽減できる可能性がある.