抄録
橈骨頭・頚部骨折を合併した経肘頭脱臼骨折5例5肘を対象とした.検討項目として,骨折型,治療方法,手術待機期間,観察期間,関節可動域(肘関節屈曲・伸展,前腕回内・回外).JOAスコアを評価した.経肘頭脱臼骨折においてMI分類A-IIが1例,P-IIが4例であった.肘頭骨折に関して全例ロッキングプレートで骨接合を行った.橈骨頭・頚部骨折はMason分類Type2が3例,Type3が2例で,Type2の3例の内1例は骨接合,1例は保存,1例は骨片摘出を行った.Type3の2例は人工橈骨頭置換を行った.平均手術待機期間は13日,平均観察期間は15.8か月,平均関節可動域は肘関節屈曲123° 伸展-16° 前腕回内64° 回外88° であった.平均JOAスコアは79点であった.本骨折での治療として橈骨が先か,尺骨が先かは依然議論の余地はあるが,今回尺骨の再建を優先し手術を行った結果を報告する.