日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
小児上腕骨顆上骨折に対する伝達麻酔併用日帰り手術の有用性と安全性の検討
鍋島 欣志郎山田 俊之山口 毅宮原 萌六角 智之
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2022 年 29 巻 2 号 p. 11-14

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抄録

 小児上腕骨顆上骨折手術に対して伝達麻酔を併用した過去の報告は少ない.当院では2011年より麻酔科医の協力のもと,全身麻酔に伝達麻酔(腕神経叢ブロック鎖骨下アプローチ)を併用することで積極的に日帰り手術を行っている.本研究では2011年4月から2021年10月までに当院を受診した15歳以下の上腕骨顆上骨折を対象とした.除外例17例(開放骨折,顆部粉砕骨折,他部位の合併骨折,同部位の再骨折,亜急性例)を除いた合計245例を検討した.検討項目は年齢,性別,骨折型,血流障害の有無,神経障害の有無,術式,麻酔薬使用量,入院日数,術後合併症の有無とした.術後合併症は嘔吐を5例認めたのみであった.小児上腕骨顆上骨折に対する伝達麻酔併用は有用かつ安全であることが示唆された.日帰り手術を選択肢として提供することで患者本人,家族,また医療従事者の負担の軽減を期待できる.

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© 2022 日本肘関節学会
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