2022 年 29 巻 2 号 p. 119-122
当科で観血的整復固定術を施行し,術後3ヶ月以上経過観察可能であった新鮮尺骨肘頭骨折に対する各術式の治療成績を後ろ向きに比較検討した .対象は,男性21例,女性20例の41例で,K-wireによるTension band wiring(K-TBW)法14例,Ring pinによるTBW法10例,プレート固定17例であった.最終経過観察時の可動域,JOA-JESスコア,骨癒合後の抜釘を除く追加手術の有無を 検討した.最終経過観察時の可動域やJOA-JESスコアでは,術式の違いによる有意差を認めなかった.追加手術は41例中7例(K-TBW 5例,プレート固定2例)で行われ,K-TBW法でやや増加していた.比較的経験の浅い術者が担当することが多いK-TBW法では,K-wireの逸脱を防ぐ工夫など丁寧な手術を徹底する必要があると思われた.