2022 年 29 巻 2 号 p. 166-169
野球選手と体操選手では上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の好発部位が異なることが臨床的に報告されているものの,競技の違いが肘関節内応力分布に及ぼす影響はいまだ不明である.本研究ではCT osteoabsorptiometry法を用いて野球選手と体操選手における肘関節応力分布を比較検討した.大学生野球選手12名と体操選手13名の利き腕の肘関節単純CT画像を用いて高骨密度領域を解析した.野球選手と体操選手では平均Hounsfield units(HU値)の分布に違いがみられ,野球選手では投球側の上腕骨小頭前方で平均HU値が有意に高く,体操選手では上腕骨小頭遠位で平均HU値が有意に高かった.野球選手では繰り返す投球動作における上腕骨小頭前方へのストレスにより同部位の平均HU値が上昇し,体操選手では肘伸展位での上肢荷重負荷における上腕骨小頭遠位へのストレスにより同部位の平均HU値が上昇したと推測される.