2022 年 29 巻 2 号 p. 179-181
肘痛の既往のある選手の小指のMP,PIP,DIPの屈曲角度を分析した.高校野球選手63名を肘痛既往群32名とコントロール群31名とした.握り動作の小指のMP,PIP,DIPの自動屈曲角度を算出した(単位:度).両群とも各角度の投球側と非投球側の差を統計解析した(p < 0.05).肘痛既往群のPIPの自動屈曲角度は投球側が非投球側より4.1° 有意に小さく,MP,DIPでは有意差を認めなかった.コントロール群のDIPの自動屈曲角度は投球側が非投球側より7.6° 有意に大きく,MP,PIPでは有意差を認めなかった.肘痛既往群のPIP自動屈曲角度は投球側が有意に小さいことから,肘外反を制動する浅指屈筋の収縮機能や筋力低下が示唆された.コントロール群のDIP屈曲角度は投球側が有意に大きいことは,健常選手の特徴と考えた.