日本肘関節学会雑誌
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Print ISSN : 1349-7324
Ⅵ. 神経疾患
抗血栓薬を内服する肘部管症候群患者の術後成績に対する薬剤継続・休薬の影響
夏目 唯弘土橋 皓展山田 陽太郎
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2022 年 29 巻 2 号 p. 261-265

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抄録

 当院にて神経剥離術を行った肘部管症候群69例のうち抗血栓薬内服患者14例を対象とし,その術後成績について抗血栓薬の継続・休薬の影響を後ろ向きに調査した.抗血栓薬継続群8例、休薬群6例で年齢,性別,抗血栓薬の種類,McGowan分類,術後合併症,握力/ピンチ力,HAND20,Pain NRS,他覚的・自覚的知覚評価,電気生理学的重症度,術後予後評価基準を調査し両群を比較した.術後合併症は継続群において著明な皮下出血を1例認めた.握力/ピンチ力,HAND20,Pain NRS,他覚的・自覚的知覚評価は両群とも術後有意に改善し,両群の改善に有意差を認めなかった.術後予後評価は継続群で優5例・良1例・可2例,休薬群で優3例・可3例であった.継続群・休薬群ともに術後機能改善は良好であり,抗血栓薬を内服する肘部管症候群患者に対し薬剤の継続・休薬は神経剥離術後の長期成績に影響を与えなかった.

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© 2022 日本肘関節学会
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