日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
上腕骨外側顆,外側上顆骨折に尺骨鉤状突起骨折を合併した小児肘関節脱臼の治療経験
山田 哲也
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 29 巻 2 号 p. 34-37

詳細
抄録

 小児肘関節脱臼に合併する尺骨鉤状突起骨折の報告は少なく手術適応は明らかでない.さらに上腕骨外側顆骨折や外側上顆骨折を合併した症例について受傷機転と治療を考察する.症例1:4歳男児.滑り台から転落受傷.Milch 1の上腕骨外側顆骨折に肘関節の後内側脱臼と尺骨鉤状突起骨折を合併した.骨折型から後内側回旋力による脱臼と考えたが外側顆骨折の固定のみで安定した.症例2:12歳男児.サッカーゴールの上から転落受傷.外側上顆骨折に後方脱臼と尺骨鉤状突起骨折を合併した.骨折型から後外側回旋力による脱臼と考えたが外側上顆骨折の固定のみで安定した.自験例の上腕骨外側顆骨折Milch 1,上腕骨外側上顆骨折に肘関節脱臼と尺骨鉤状突起骨折を合併した症例では,外側顆骨折,外側上顆骨折が不安定性の原因であり,その整復固定により肘関節は安定した.小児では小さな尺骨鉤状突起骨折内固定の必要性は比較的低い可能性がある.

著者関連情報
© 2022 日本肘関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top