2022 年 29 巻 2 号 p. 5-8
【目的】神経線維腫症に併発した生下時からの尺骨偽関節および橈骨頭脱臼の1例を経験したので報告する.【症例】生下時より右前腕変形と体幹にカフェオレ斑を認め,1型神経線維腫症と診断された.生後3か月で当科初診,尺骨が中央で偽関節となり,橈骨頭は前方に脱臼していた.生後1歳10か月まで待機し,橈骨遠位部と尺骨近位部に骨延長器を設置し橈骨頭の引き下げを行った.2歳0か月で橈骨頭が整復できる位置となったために,近位橈尺関節を回旋中間位で腸骨移植と共にone-bone forearm化を施行した.2歳2か月で外固定を除去し,制限なく右上肢の使用を許可した.術後半年現在,肘関節に側方動揺なく,右手を使用して遊んでいる.【まとめ】神経線維腫症に併発した生下時からの尺骨偽関節および橈骨頭脱臼の1例に対して,延長器を用いて橈骨を引き下げた後にone-bone forearm化を行い,安定した関節を獲得できた.