抄録
先天性橈尺骨癒合症はまれな疾患であり,その中でも肘関節ロッキングを生じた報告例は少ない.今回,先天性橈尺骨癒合症で水泳中に発生した肘関節ロッキングの1例を経験した.症例は15歳の男児で,小学生の頃に右先天性橈尺骨癒合症と診断されている.今回,水泳中に右肘関節の伸展障害が出現.右肘関節可動域は自動屈曲145°,自動伸展85° に制限されており,他動でも伸展は困難だった.単純X線で橈骨頭の前方脱臼を伴う橈尺骨癒合症を認めた.手術では,橈骨頚部で厚みのある輪状靱帯を認め,切離した.術後3か月で疼痛はなく,ロッキング以前の-40° に改善した.本症例は肘関節の過屈曲肢位により輪状靱帯が橈骨頚部に嵌入し,ロッキングが生じたと考えられ,治療には輪状靱帯の切離が必要であった.