当院で治療した小児上腕骨遠位部骨折のうち,受傷時の単純X線検査のみでは確定診断に至らず,肘関節造影にて確定診断に至った6例を対象とし,各症例の初期診断,関節造影による確定診断および治療法について調査し,肘関節造影の有用性について検討した.確定診断の内訳は,上腕骨遠位骨端線離開2例,上腕骨内側顆骨折1例,上腕骨内側上顆骨折1例,上腕骨外側顆骨折1例,上腕骨外側顆骨折を伴う肘関節脱臼1例であった.特に2歳未満の上腕骨小頭骨端核が出現していない症例における上腕骨外側顆骨折及び肘関節脱臼と上腕骨遠位骨端線離開および,8歳未満の上腕骨滑車骨端核が出現していない症例における上腕骨内側上顆骨折と上腕骨内側顆骨折のような決して診断を誤ることが許されない症例の鑑別に有用であった.