日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
肘頭骨折に対するプレート固定術後の近位骨片脱転予防のための治療戦略
黒田 拓馬筒井 完明荻原 陽川崎 恵吉稲垣 克記
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2023 年 30 巻 2 号 p. 129-132

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抄録

 肘頭骨折に対するロッキングプレート固定術後の近位骨片脱転予防に,引き寄せ鋼線締結法を併用した方法の治療成績について調査した.適応は,初回手術後に近位骨片が脱転した症例,術前の画像検査で近位骨片の二重骨折を認めた症例,近位骨片への2本以上のスクリュー挿入が困難な症例とした.対象は,本法を用いて手術治療を行った4例4肘,男性2例,女性2例,平均年齢69. 3歳,初回手術2肘,再手術2肘,Colton group2: 2肘,group4: 2肘とした.経過観察期間は,平均10.7か月であった.最終診察時の肘関節屈曲は,平均142.5°,伸展は平均-26.3°であった.MEPSは平均95点であった.3肘で骨癒合は得られたが,1肘で鋼線刺入部のさらに近位で骨片の転位を認めた.引き寄せ鋼線締結法の併用は,近位骨片脱転予防の選択肢の1つとして有用と思われた.

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© 2023 日本肘関節学会
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